情報コーナーからのお知らせ 12月号

 12gatu.yukinomati.gif12月から年末年始にかけて、お花にふれる機会も多い時期ですね。

そんな時「大村はま先生」のこのエッセイを思い出します。花束のことを通して、とても大事なことを、教えてくださっているように思います。

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怪我の功名

  ある日、私は、たいへんきれいな花束をいただきました。お誕生日だったからです。私はそれを持って帰りましたが、どうしたはずみでしょうか、それをすぐ水に入れようと思っていましたのに、忘れました。そうして、朝まで忘れてしまいました。私はもう、泣きたいような気持ちで、朝、しおれた花を見ました。でも、もしかしたら助かるかと思って、大きなバケツに水をくんでそれをドップリ入れて学校へ出かけました。そして、帰ってみたならば、みんなピーンとなって、きれいな花束になっていました。私はほんとうにうれしいと思いました。

 それから、私は近所の親しい花屋さんに行きました。その花束を少しでも長くもたせたいと思いましたから、切り花に元気をつけるお薬もらいに行ったのです。そしてついでに、夕べの話しをしました。そうしましたら、花屋さんが言うには、「それはよかったですね。花というのは切って間もなく、すぐに水に入れてはダメなんですよ。一晩そうやって、置いといたことがよかったんですよ」と言うのです。

 「まあ、どうしてですか?」とききますと、花は切りたての時には茎にまだいっぱい水がありますので、それで、すぐに水に入れても飲まないのだそうです。吸わないわけですね。

そして飲む力が弱まっていってしまうのだそうです。ところが、きっと一晩そういうふうに水がもらえませんと、たいへん水が飲みたくなって、もう、飲みたい飲みたいと、私たちがのどを渇かした時のようになるのだそうです。そこで水に入れますと、ぐっと水を吸いこんで、その時、水を吸いこむ力も強くなるのだということです。「ですから、ほら、ごらんなさい。これ、今、産地から送ってきたこの花、みんなこうして切り花にして、こういうふうにくるんで送ってきますね。少ししおれているでしょう。これでいいんです。これを水に入れますと、今申しましたように、のどの渇いたところでの水ですから、グングン生きかえるんですよ。送ってきた花がいたむだろうってのは違うんで、この間の、少ししおれたところが、とても役に立つんです」と話してくれました。興味深いことですね。

『心のパン屋さん~ことばの教育に生きる』  大村はま著より

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