2021年7月アーカイブ
園田幼稚園にはハンターがいる |
園田幼稚園にはハンターがいる。 たそがれ時になると、静寂な園庭に突然絶叫が響き渡る。 「いたー!」「ごはんー!」「あっ!逃げられた!」「そこ!」「やったー!ごはん、ゲットー!」 園庭の木々のあたり、花壇のそばで数名のハンターの影が、夕やみが迫る園庭でうごめいている。 「みどりちゃん、ごはーん。」(みどりちゃんとは、もも組のカエルの名前である) ハンターたちは、カ、ハエ、クモなど、生きた小さな生き物を捕獲し、カエルのみどりちゃんに与える。 みどりちゃんは透明な水槽で生活している。みどりちゃんは美食家なのか、生きたものしか食べないのである。(カエルの習性である)しかし、先日与えられたバッタはお気に召さなかったらしい。 捕獲された獲物は、どうなるのか。みどりちゃんの足は水槽の壁に吸い付き、壁を自在に移動することが出来る。 例えば、水槽に入れられたハエは、出口を探してあちこち飛んでは止まり、出口を探して飛んでは止まり、を繰り返す。 それをみどりちゃんの飛び出た目は静かに追っている。しかし、からだは微動だにしない。時折向きを変えようと少し動くが、基本的には獲物をじっと見ている。 気配をさとられないようじっと待っている。 獲物がだんだん近づいてくる。 いつの間にか水槽の周りをハンターたちが固唾を飲んで取り囲んでいるではないか。 さらに、知ってか知らずか、ハエは暢気に出口を探して飛びまわっている。 徐々にみどりちゃんの方へと近づいている。 10cm、7cm、5…「あっ!」 「食べた―!みどりちゃん、食べた―!」大歓声が一斉に湧き上がる。 一瞬のことであった。ハエをパクっと食べたみどりちゃん。まわりの大騒ぎをしり目に、何もなかったかのようにケロッとした顔である。(カエルだけに…) ハンター達は日々みどりちゃんのために狩りをする。 そのようなことを園児は誰一人知るよしもない。 次の日の保育の時間。もも組の部屋では、たらいの中にみどりちゃんは入れてもらい、子ども達がみどりちゃんの背中をなでて「みどりちゃん、かわいい。」「わたしもさわらせて。」と大人気。 このみどりちゃんを日々支えているのは、園田幼稚園のハンター達であることは、私しか知らない。あの、ハンター達の獲物をねらう…(これ以上は書けません(´;ω;`)ウッ…) |